特集 身体障害者スポーツ
<随想>
リハビリテーションにおける身体障害者スポーツの意義
大喜多 潤
1
1兵庫県玉津福祉センター
pp.603
発行日 1987年9月15日
Published Date 1987/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103857
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身体障害者にとってスポーツは,訓練的な要素も多分にもっており,私にとって,リハビリテーションの中でも重要なプログラムの一つであった.特に更生援護施設にスタッフとしてかかわった時代にその印象を強くもった.リハビリテーション専門病院を終了したケースが引き続き総合的なリハビリテーションを受けられる環境の中で,リハ医療より“生活指導”へ中心を移して機能回復訓練を提供する役割分担を担ったのが現在私の勤務する施設である.日常スケジュールの中で,PT,OTに肩を並べて,この身障スポーツ訓練の時間が各ケース各様に生かされていた.
神経学的な回復期には,一つ一つの動作や運動が治療として重要性をもち,またその運動負荷量も注意深く見守られ患者も注意力を集中して機能回復訓練に参加するが,一定のレベルを越えると,つまり運動負荷量の制限が無いかまたは高い水準に達すると,何か目的をもった活動に置き換えて行われるほうが,より自立性をもち,積極的・具体的に訓練が進められる.トレーニング器械で健康な人が処方どおりに下肢筋力の増強訓練をするより,毎日の散歩のような形で訓練させるほうが,より意欲をもたせ効果的に目的を達することができることになる.またスポーツはルールを上手に変えることにより(時として変更不用の場台もある)意欲的に,種目を選ぶことにより,集団的あるいは個人的に,訓練の延長として用いることができる.
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