プログレス
慢性関節リウマチ(RA)に対する血漿交換療法
本田 善一郎
1
,
当間 重人
1
,
土屋 尚之
1
,
三森 明夫
1
,
高橋 孝喜
2
1東京大学医学部病院物療内科
2東京大学医学部病院輸血部
pp.487
発行日 1986年7月15日
Published Date 1986/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103594
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慢性関節リウマチ(RA)は原因不明の全身性関節炎を主徴とする疾患であり,現在日本には30-50万人の患者が存在する.重症度は様々だが,その10%程度は高度の関節破壊により運動機能が廃絶し,数%は全身の血管炎に基づく主要臓器(肺,心臓等)が障害され,あるいは皮膚潰瘍等を併発し,時に致命的となることもある.従来の薬物療法により,疾患活動性を一定程度コントロールし得る症例においても,ADLの制限による生活の質の低下に対する対策に苦しむことが多い.
近年,上述の如き内科薬物療法のみでは疾患の活動性を抑制し難い症例を対象に血漿交換療法(PP)が試みられている.1982年-1983年における本邦の統計でも,PPの対象疾患の中でRAが最も多い.本療法の考え方は,血漿中に存在すると想定される病因物質,起炎物質などを除去することによって,病勢の進行を阻止し症状を改善することにある.現段階で同療法が明らかに有効であり,適応があると言われるのは,関節外症状を呈した例,殊にその急性増悪期の症例である.それ以外の症例に対しての適応の決定,有効性の評価等は議論の余地があるところである.
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