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特集 シンポジウム/研究法を考える
理学療法領域の研究テーマの概観―欧米と日本
Overview of Research Themes in Physical Therapy: Japan, Europe and America
嶋田 智明
1
Tomoaki SHIMADA
1
1神戸大学医療技術短期大学部
1School of Allied Medical Sciences, Kobe University.
pp.223-230
発行日 1986年4月15日
Published Date 1986/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103544
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はじめに
理学療法や作業療法の研究は,臨床にその端を発しているべきである.したがって,毎日の患者との触れ合いの中から生じた疑問や,興味ある現象を通じて,研究が開始されるのが本筋であろう.研究を通して,我々の行っている治療の効果を科学的に実証できるし,これがまた新しい治療法や技術の発展につながる.動物を用いた基礎研究にせよ,一人の患者をじっくり経過観察して,治療のあり方や,その問題点を討議する症例研究にしても,究極の目的は,患者に与えられる医療サービスの水準の向上にあるといっても過言ではなく,このことを我我は,しかと肝に銘じておかねばならないと思う.医学は,日進月歩であり,疾病構造の変遷や治療技術の進歩に伴い,研究の対象や方法も変ることから,研究テーマにも必然的に変遷のみられるのは当然である.
しかし,既に述べた如く,「研究の原点は患者である」という「精神」は,いつの世も不変であり,決して崩してはならない医療人としての哲学である.さて,この小論では,以上の点をふまえて,理学療法領域の研究テーマが,欧米と日本とで,過去10年の間にどのように変遷してきたかを概観し,わが国の理学療法士による研究活動の現状と,今後の動向および問題点について考えてみたいと思う.
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