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特集 シンポジウム/研究法を考える
研究論―リハビリテーションにおける研究を考える
Some Reflexions on Research
上田 敏
1
Satoshi UEDA
1
1東京大学病院リハビリテーション部
1Central Rehabilitation Service, University of Tokyo Hospital.
pp.219-222
発行日 1986年4月15日
Published Date 1986/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103543
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はじめに
リハビリテーション医学はまだ若い学問であり,医学の世界,特に研究を主とした学問の世界において完全な市民権を得たとは言い切れない状態にある.実際の医療・保健の世界ではリハビリテーション医療の必要性や価値はほぼ疑問の余地なく認められていると言ってよいが,学問としての独立性や完結性には問題があると見られている場合が多いようである.言いかえれば,技術としての必要性は認知されているが,それを支える学問には疑問が投げかけられているということになる.日新月歩の医学の世界の中でこれだけはあたかも無風地帯かエアポケットでもあるかのような奇妙な観を呈しているわけである.
しかし果してそうであろうか.実際にリハビリテーション医学には学問研究の上での実績がそれほど乏しいのであろうか.あるいは歴史の浅さということもあって,現在までの業績は確かに乏しいということを仮に認めたとしても,それは本質的なもので今後とも質の向上の可能性のないものか,その辺のところが問題である.
「研究法を考える」というシンポジウムの冒頭にいきなりこのような根本的な疑問を投げかけるのは適切さを欠くかもしれないが,この問題を避けて,小手先の研究方法論の議論をしても仕方がない,というのがリハビリテーション医学界の実情であり,その実情から出発する他に途はないのである.
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