Japanese
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講座
リハビリテーションと力動精神医学 2.基礎理論
Rehabilitation and Dynamic Psychiatry 2. Basic Conception.
橋本 元秀
1
Motohide HASHIMOTO
1
1井之頭病院
1Inogashira Hospital.
pp.184-188
発行日 1986年3月15日
Published Date 1986/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103529
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Ⅰ.力動精神医学の基礎概念
いま仮に,一つの容器に入った水を考えてみることにしよう.その水は,容器を傾けたり振ったりすることによって,どのようにでも形を変える.一方,同じ容器に入った同じ水であるということに変わりはない.人間の心をこの容器と水のように考えてみるならば,いつどのような場合でも,人の心にはこうした二つの側面があるということが出来る.第一は,成長,円熟,衰退といった生物学的なプロセスを経ながらも,誕生から死に至るまで一貫してその人が同一の存在であるということ,もう一つは,それらのプロセスの各段階に応じて,更には日々の状況に応じてその人の心はさまざまな表情を示すということである.おおまかに言えば,この二つの側面を見るということが力動精神医学の最も基本的な視点であるといえるだろう.この項では大きくこの二つの視点からリハビリテーション(以下リハビリ)を捉えていくことになるが,まず後者,すなわち日々の状況に応じて変化する心のあり方から,臨床に即して見ていくことにしたい.
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