プログレス
慢性関節リウマチに対する免疫療法の進歩
菅原 幸子
1
1東京女子医科大学附属第二病院整形外科
pp.405
発行日 1985年6月15日
Published Date 1985/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103346
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近年免疫学のめざましい進歩によって,免疫応答における免疫細胞間の相互作用が解明されつつあり,多くの新しい事実が見い出されてきた.それによって従来原因不明とされていた多くの疾患が免疫異常によるものであることも判明して来た.このような疾患を治療するために,免疫学的な知識を基にして,免疫異常を人工的に正常化しようと試みるのが免疫療法である.
慢性関節リウマチ(RA)は原因不明の慢性進行性の全身疾患であり,現在この進行を止める治療方法はない.RAは著しい免疫異常を伴い,その中心となるものにリウマトイド因子(RF)がある.RFとは白己のIgGを抗原とする自己抗体であり,IgM,IgG,IgAが存在し,血清中では主としてIgGとIgM RF,関節内では主としてIgGとIgGRFが結合して免疫複合体を形成する.また好中球が,これら免疫複合体を貪食することによって,ライソゾーム酵素などを放出し,これらによって滑膜,軟骨などを障害して関節炎を発現する.これらの機序からみるとRAはⅢ型アレルギーの免疫複合体疾患と考えられている.しかしこのRFの産生は疾患の原因であるか,あるいは疾患が発症した結果によるものかは,いまだ不明である.
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