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特集 慢性関節リウマチと理学療法・作業療法
慢性関節リウマチ治療の最近の進歩
Recent Progress in the Treatment of Rheumatoid Arthritis
荻田 忠厚
1
,
水島 裕
Tadaatu OGITA
1
1東京大学医学部物療内科
1Tokyo University, School of Medicine.
pp.223-225
発行日 1978年4月15日
Published Date 1978/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101654
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はじめに
慢性関節リウマチ(RA)は関節の滑膜に始まる慢性の炎症性疾患で,その結果,関節は次第に破壊され遂に変形をきたす.RAは単に関節炎のみでなく,しばしばリウマトイド結節,胸膜炎,心膜炎および各種血管病変など関節外症状を呈する全身性の炎症性疾患である.
RAの治療の目的は炎症を抑え,疼痛を取り除き関節,筋肉の機能を保持しながら変形を予防或は最小限にすることである.そのための内科的治療として基礎的保存療法と薬物療法がある.基礎的保存療法は,①全身の安静,②関節局所の安静,③精神的な安静,④温熱療法・理学療法,⑤適当な運動および⑥調和のとれた食餌療法であり,これはいかなる治療方法を施行するにもまず試みられるべきものである.
薬物療法は一見,遅々としているが,最近ではかなり進歩し,さらに今後の展望もひらけつつある分野である.試みに,私どもがRAの治療体系の総説をかきだした1965年頃のRAの治療体系と,1977年のそれとを比較してみると最近の進歩の1つは,各種の非ステロイド抗炎症剤が開発されたことであり,これにより患者にあう非ステロイド剤の選択が,以前に比べて容易になった点である.第2は,クロロキンにかわりペニシラミンが使用され,金療法と同程度の効果があるとさえ考えられるようになったことである.次に,免疫抑制剤も難治のリウマチには考慮すべき治療法となってきたことである.免疫抑制剤の作用機構はいわゆる免疫抑制のほかに,RAの病変を起こす主役である単核球の遊走などの種々の生物活性を抑制することにもある.さらに,ここ2~3年のうちに著しく研究が進むと思われるものとして,後述する免疫調節剤がある.
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