とびら
1080時間
山田 孝
1
1北海道大学医療技術短期大学部
pp.355
発行日 1983年6月15日
Published Date 1983/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102864
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作業療法士養成校の教育課程は「理学療法士および作業療法士法」(昭和40年法律第137号)によって定められているが,その中で,いわゆるインターンと称されている『実習』に費されなければならない時間として,「1080時間」と指定されている.一口に1080時間と言うが,実際に暦の上で数えてみると,日曜日を除き,土曜日を半日として計算すると,24週間,つまり,6ヵ月間もある.
ところで,インターンという制度は専門職には付きものであると言われている.確かに,インターンという制度は,かつての医師制度の中で重要な位置を占めていたし,また,現在の司法習修制度においても重要な位置を占めている.しかしながら,これらの『専門職の中の専門職』におけるインターンの位置づけは作業療法の場合と全く異なるものであった.つまり,前者では卒後教育として取り扱われているのに対して,後者では卒前教育の一環として取り扱われているのである.ところで,この1080時間は何時,何処で,誰によって決められたのであろうか? 良く引用される世界作業療法士連盟(WFOT)の「教育最低基準手引き」にも,単に,数字が示されているだけであって,ルーツは明らかにされていない.ところが,最近,1981年のアメリカ作業療法学会の主題講演を掲載した雑誌の中で,1080時間に至る経過を歴史的に追っている論文を読む機会があり,かなりの程度,明らかになった思いがした.
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