連載 臨床実習サブノート 診療参加型臨床実習—「ただ見ているだけ」にならないように!・3
人工膝関節全置換術
藤浦 達
1
Tatsu FUJIURA
1
1横浜市立大学附属市民総合医療センターリハビリテーション部
pp.708-712
発行日 2021年6月15日
Published Date 2021/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551202350
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変形性膝関節症に対する人工膝関節全置換術後の理学療法の概要
変形性膝関節症は疼痛を伴う代表的な関節疾患です.関節変形が進むにつれ,徐々に疼痛が強くなり活動制限を来し,全身に廃用を生じさせます.人工膝関節全置換術(total knee arthroplasty:TKA)後は,侵襲による炎症症状が生じ,アライメントが変わったことも加わり関節可動域制限や筋出力の低下を来します.理学療法では,患部の炎症症状に配慮しつつ関節可動域や筋力を改善させ,併せて全身の廃用改善を図ることが重要です.それによりすみやかな基本動作・歩行獲得,ADL・APDL自立,社会復帰が果たせます.
近年,クリニカルパスを利用した施設が増えています.当院では術後約2週間で退院することを目標としていますが,なかには1週間未満での退院を目標とする病院もあります.退院の際には,安全な移動手段の確保が必須となります.一般的には,T字杖歩行での自宅退院が目標となることが多いですが,入院期間と患者の能力を考慮して,安全に移動できる歩行補助具を選択することが重要です.長期目標は,患者の生活環境や社会的状況,NeedやHopeを目安に設定します.入院中から長期目標を考慮してプログラムを行うのはもちろんのことですが,退院時に目標達成のための自主練習の指導をすることも重要です.
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