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はじめに
○月○日,実習指導者を招いてインターン実習前打合わせ会を開いた際,一人の実習指導者が「いつ出席しても内容があまり変わりばえせず,同じだなあ」ともらす.心にいたくひびく.数人の実習指導者が,「学校から,もっと強く,ああして欲しい,こうして欲しいという言葉は無いんですか」と問いかける.もし強く言ったら,「もう実習を受けるのは遠慮させてもらいます」と言うんじゃないかと不安に思い,にこにこととりつくろう.
○月○日,実習依頼の返事の電話が入る.「実は,出産を控えていますので,今年度の実習はお断わりさせていただきます」,「少しも就職に結びつかないのですが少し考えていただけませんか」,「どうも以前の実習学生の評判が良くなかったので,今度は,あまり手のかからない学生をお願いします」,「まだ実習を引き受ける自信がありませんのでもう少し体制が整ってからにしたいと思います」等々.
臨床実習は,率直に言えば,学校側にとってこのように不安定さが漂うのが現状である.
いつか,実習指導者の打合わせか反省会で,ある実習指導者が,「学校側は,こうしたら施設側から実習を断われるのではないかなどと不安を持つ時代は終ったと思う.お互いにどんどん意見を出し合って,臨床教育そのものをもっと発展的にしていきたい」との意見があったのを記憶している.
いつも,“いつかお互いが率直に意見を出し合って,臨床教育の内容をああでもない,こうでもないと顔を寄せ合いながら,激論を闘わすことの出来る時が必ず来る”と思い続けて教員として8年の年月が経ってしまった.
卒前教育の多くの時間を費す臨床教育の時間がもっと少なくなり,そしてやがては無くなったらどんなに我々は心身共に健やかになれるかと考える日もあったが,問題の多くはそんなことでは解決されない.当然のことながら,実習を受ける施設側の立場になってみれば,どれだけの貴重な時間が実習指導のために費されているか申し訳けない気持にもなる.ここでは実習学生を受け入れてくれる実習施設側の種々の協力に深く感謝しつつ,学校側の立場から臨床教育について述べていきたい.
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