特集 日常生活動作
<随想>
日常生活動作解析についての2,3の問題
生田 宗博
1
1金沢大学医療技術短期大学部
pp.62
発行日 1982年1月15日
Published Date 1982/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102560
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ADLは,身体機能あるいはその障害を表わす,1つの概念であり,個人が日常の私生活を送る上で自ら行う必要のある,動作の範囲を示す,と言えよう.一方,身体機能はリハにあっては,ROM,筋力,感覚,バランス能力,運動協調能力,運動速度などの「身体諸機能」に単位分割して捕えられ治療される.今回はこれら身体諸機能とADLの関連について,2,3の点で考えてみたい.
身体諸機能はimpairment,ADLはdisabilityとして別個の障害と一般に考えられている.では身体諸機能の障害とADL各項目の障害は異なるのであろうか.ADL各動作項目は,その動作に必要な身体諸機能にまで分解して行く事が可能である.あるADL項目に必要な身体諸機能を選択的に治療する時,それはADLの治療であると言えよう.ところで,あるADL動作項目を成すに必要な諸機能を,個々の関節の可動域,個々の筋の筋力にまで細分化するとき,単一のADL項目に必要なROMや筋力の組合せは多様に存在する事が予測される.したがって,このレベルでADLを解析するには,各症例の多量のデーターを電子計算機で処理し解析する手段を確立しないと,現場・臨床に益するには致るまい.
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