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はじめに
最近では,老人に対するリハビリテーションの重要性について叫ばれる中で,従来であれば,この重要性については老人福祉法の定める老人福祉施設の中の運営要綱の一つとして,施設収容によっての処遇としてリハビリテーション・サービスが位置づけられている.
ところが,今日では在宅福祉の観点から施設収容者のみに対するリハビリテーション・サービスから,地域の中でリハビリテーション活動を実施する傾向にあり,いわば社会福祉の転換期を迎えようとしている.
これが,在宅老人に対する福祉サービスであろう.
それには,在宅訪問福祉サービスとして実施されている訪問リハビリテーション指導や,本号の特集の中で紹介されている老人のデイ・ケアがあると思われる.
今後急激に増加するであろうこの老人人口に対しての福祉施策として,施設収容中心的福祉のみでは,まだまだ到底充分な福祉サービスといえるものではなく,また,このような収容中心的福祉が必ずしも,老人のための最良の施策とは考えられない.
しかし,社会のさまざまな情勢から,これからの老人は,施設収容に委ねられねばならない時期が到来するのかも知れないが,老人にとって施設収容主義的な施策の外に,人間尊重を重んじて実行されるべき施策が必要となる.まさに「老人は人間である」という考え方を中心とせねばならない.
従来では,在宅福祉サービスというと,とかく在家庭において,訪問による種々のサービスを受ける事のように理解されがちであったが,今後は在宅福祉サービスの一環として,地域ケア・センター,あるいは,デイ・ケア・センターなどへの通所により老人のケアが進められようとしている.
このような事を踏まえ,当特別養護老人ホーム緑寿園および武蔵野,小金井,田無,保谷地域ケア・センターが昭和50年に開設したのである.
施設概要として,特別養護老人ホーム緑寿園は在園者定員100名,それに,東京都,武蔵野市,小金井市,田無市,保谷市からの補助金により運営されている地域ケア・センターであり,四市地域ケア・センターの業務内容は,入浴サービス,ショート・ステイ・ホーム・サービス,デイ・ホーム・サービスが主たるサービスで,この中のデイ・ホーム・サービスとして実施しているのが,いわゆるデイ・ケアである.
今日では,デイ・ケアの利用理由も多様化されつつあり,その老人のニードに合わせてデイ・ケアを進めて行く事の大切さを痛感している.
デイ・ケアの中での広義的な意味としてのリハビリテーション活動,または,狭義的な意味での理学療法を現在試行錯誤の中で,特別養護老人ホームと地域ケア・センターの中で微量ではあるが経験をしたのでここに報告をする.
なお,この文章を書くのに当り,老人福祉施設の中で理学療法という言葉を使用するのが非常に困難で,また,理解に苦しいために,あえてリハビリテーション活動と機能回復訓練という言葉を使用させてもらう.
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