Japanese
English
特集 精神分裂病の作業療法
精神療法的作業療法
Occupational Therapy Based on Psychotherapeutic Principles
平野 寛子
1
Hiroko HIRANO
1
1いぬお病院
1Inuo Hospital.
pp.553-561
発行日 1981年6月15日
Published Date 1981/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102415
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.はじめに
精神科作業療法と言われるもののなかには,伝統的に行われてきた農耕や養豚作業といったものから,外勤やデイ・ケア,在宅治療に至るまでの幅広い両者の間に,実にさまざまなものが含まれている.そのなかで精神療法的作業療法は,後述するように歴史的な流れのなかで「治療としての作業療法」として位置づけられ,さらに「1つの理論のもとにその機序をも明確化し,一定の普遍妥当な技術操作により,しかもその効果(同時に副作用)が充分検証されなければならない.」1)と期待を寄せられている.これから精神療法的作業療法というテーマで書き進めていくわけだが,筆者自身この言葉を聞くと「自分の日常の臨床とはかけ離れた何か特殊な技法論を持つもの」とイメージして手も足も出ない気分を味わってしまうのだ.
これは暴言だと思うが,精神療法的作業療法とあえて言う必要はあるだろうか.こう区別することは,かえって混乱を招きはしないかと考える.
この精神療法的という意味は「患者に何らかの心理的影響を与えて,それを治療の手段とする方法の総称」2)として使われていると思うが,それならば精神科作業療法が精神療法的であるのは当り前のことだろう.
筆者は精神療法的作業療法を,特殊な技法論としてではなく精神科作業療法の基本にあるものとしてとらえ,論をすすめたいと考えている.
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.