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特集 物理療法
末梢循環障害に対する物理療法―Vasculator治療を中心に
Pressure Environment Therapy for Peripheral Vascular Diseases
浅野 達雄
1
Tatsuo ASANO
1
1大阪大学医学部付属病院
1Osaka University Hospital.
pp.511-518
発行日 1981年5月15日
Published Date 1981/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102403
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はじめに
四肢にみられる浮腫や血行不良には,一過性に出現し簡単な処置によって,あるいは自然に消失するものもある.しかし,動・静脈の疾患,毛細血管やリンパ管の疾患など,末梢循環を阻害するなんらかの脈管異常によって,本格的に内科・外科治療や,理学療法を必要とするものも少なくない.循環障害は浮腫およびそれに続発する関節拘縮の原因ともなり,あるいは皮膚に難治の潰瘍(特に下肢)を作り易い.血行不良が進めば四肢切断という重大な結果をまねくこともよく知られている.このように患者を苦しめ,将来を暗転させ不幸に導く末梢循環障害に対して,最近,血管病学の進歩は目覚しいものがある.病態生理の研究や精密な検査法による診断技術の向上によるもので,新しい治療法も提唱されている.こうした趨勢をふまえて理学療法の分野においてもいくつかの工夫が報告されている.
我々も物理的な手段で,動脈・静脈性,あるいはリンパ管性の循環不全を治療するVasculatorを用いた方法を開発してみた.そしてこれを旧来の温熱,低周波治療,運動療法と比較することができたので報告したい.
Herrmann,Landis(1933)によれば,血行障害のある四肢に対して,陽圧・陰圧を加えて,血行の改善を図ろうとする試みはなされていたようである.しかし,急激な圧の増減装置や,caffの複雑な機構のために一般化されなかった.
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