Japanese
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特集 ファシリテーション・テクニック(2)
神経―発達学的治療アプローチの再確認
Reaffirmation of Neuro-Developmental Treatment Approach
紀伊 克昌
1
Katsumasa KII
1
1聖母整肢園
1Seibo Seishien Hospital for Handicapped Children.
pp.387-394
発行日 1979年6月15日
Published Date 1979/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101920
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はじめに
我々はBobath Approachを実践し始めて,9年を経過している.この間に依頼されるままに誌上で,その一端を断片的に紹介したり,体験や実践報告をしてきたが,広く理解される反面,多少の誤解や偏見も普及された点があった事を残念に思っている.昨秋,Bobath夫妻が再来日して,50名の医師を対象にセミナーを,20名のBobath Therapistsを対象に,Refresher courseを開催して講義した内容から,我々への反省点と修正が指摘された,セミナーやRefresher courseに我我が提供した患者モデルのうち数例は,治療の必要がないと指摘された.これは「絶対的に脳に損傷のある患者を治療するのであって,決して反射の異常のみで治療するのではない」という彼らの主張が理由であった.要するに過剰診断・過剰治療への警告でもあるが,早期発見・早期治療といえども,老人の脳血管障害による片麻痺や頭部外傷の場合と同様に脳損傷の事実が,明確である患者への治療に全力を尽くそうという主張でもある.そういった患者達にこそ治療援助されるべきニードがあるからで,疑わしき対象者や一般社会でも十分にやっていけそうな軽度の者には経過観察と適切な指導管理に留めるべきであるとも主張している.我々は9年間の経験では未熟な点もあり,彼らの主張に全面的に賛同し得る確信に至らないが,“脳性麻痺患者を対象とし,その治療体系を発展させる”という原点を常に明確にしていきたい,以下の10項目に亘って我々の考えている患者像とそれに対する治療体系について再確認する.
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