書評
H. Simon著,栗秋要,吉原林,長谷川保訳―「精神病院における積極的治療法」
若生 年久
1
1三重県立高茶屋病院長
pp.514
発行日 1978年7月15日
Published Date 1978/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101725
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Simonの時代からすでに半世紀以上が過ぎ,その間,精神病院における治療も幾多の「進歩」がみられたはずであるが,本書をひもどくと,50年間の時代のギャップが何時しか消えて,エネルギーと示唆に富むSimonの言葉が次々とわれわれの胸を打ってくるのを感ずる.「人生は活動にあり,無為は諸悪,荒廃の根源.」という彼の哲学が本書の初めから終りまで貫かれている.本書の内容は,第1部精神病院における強化能動療法,第2部精神療法に対する―臨床精神科医の経験と考察(1),節3部精神療法に対する―臨床精神科医の経験と考察(2,結論)とからなる.第1部においては,当時盛んに行われていた臥床療法を鋭く批判すると共に,あらゆる患者に対して作業療法と訓練療法が可能であるばかりでなく,これによって著しい治療成果のあがることを述べている.その記述は非常に具体的かつ詳細で,すばらしい訳文と相まって説得力の強いものである.
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