特集 保健婦の歩んだ道
カナダ
pp.18-19
発行日 1951年7月10日
Published Date 1951/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200105
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故郷を英國にもつカナダの保健婦事業は,母國英國のそれと同じに主として訪問看護による地區直護事業「ヴィクトリア女皇看護婦」(Victorian Order of Nurses)であつて,學校看護,健康相談等は政府の擔當するとろことなつて協力している。カナダの農山村に於ける保健婦活動で興味あるものに「赤十字出張所」(Red Cross Out Post)がある。廣大な範團に亘る2〜3ヵ町村を地區として出張所なる小病院がある。この病院はべッドを5〜6床しかもつていない。普段は大てい空床でこの病院に一人の保健婦が家政婦と共に起居している。保健婦は毎日自動車で地區内村々の健康管理にあたり,村民の家庭を訪問して廻つている。病人を發見すれば直ちに町の醫師に連絡するし,妊婦を發見すればこの病院につれて來て町から醫師を招く。大ていのものはこの病院で片づくが手に負えない大きなものは市の病院に電話連絡をして保健婦が自動車で運んでいく。この地區の指導階級は,村の教會の牧師と分教場の先生數人とこの保健婦だけである。訪問の歸途の森の中に,自動車のあかりに照し出されてびつくりたちすくむ小鹿や,沼のほとりに木をかじるビーバーなどを眺めることの珍らしくない山の中に純朴な住民を相手に,その健康をまもる保健婦の姿は尊く輝やかしいものである。
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