とびら
ゴールは決してあせらずに―患児とその親とのふれ合いの中で
菊地 延子
1
1東大病院リハビリ部理学療法士
pp.557-558
発行日 1977年8月15日
Published Date 1977/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101525
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年毎に重くのしかかって来ている子供を背負いながら,外来通院してくる母親の後姿をみると,頭がさがると同時に,セラピストとして何もしてあげられない無力感にとりつかれる.
いつ坐れるか,或いはいつ歩けるのか期待されながら背負われてくる,まだ頸も坐らぬ重度のCP児,4歳過ぎてやっと数歩,歩けるようになってきたが,知的問題ゆえに,むしろ歩行と同時に危険が予測され,手放しで喜べない精神遅滞児.チェック毎に機能の低下が観察される進行性筋ジストロフィー児等,各々の家庭の加護の許に愛情深く育まれながらも,反面,親が子の障害を受容できずに苦悶している姿に接する機会が多い.職業柄とはいえ,自分自身も未熟な心理状態の中で,どの程度に援助できているのであろうか思い悩む昨今である.
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