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Ⅰ.はじめに
筋疾患の中でも特にPTの対象となる疾患は進行性筋ジストロフィー症(Duchenne型,肢帯型,顔面肩甲上腕型,先天性筋ジストロフィー症,筋緊張性ジストロフィー症),神経性筋疾患としてWerdnig-Hoffmann,先天性ミオパチー,先天性多発性関節拘縮症,代謝性ミオパチー(centralcore病,Nemalineミオパチーetc)等が挙げられる.
従来これら筋疾患の運動療法としては,個々の弱化した筋群にわけての筋力維持訓練,呼吸訓練や障害に伴って生じる拘縮,変形の予防,固定のための装具療法が主体となって行われてきている.
運動の施行にあたっては,成人の場合は自己の状態を把握し運動の必要性も認識しているため,とかく単調になりがちの運動をhome programとして日々の生活の中で励行することが可能であり,その点PTとしては問題は少い.
しかるに小児の筋疾患の中でDuchenne型Werdnig-Hoffmann Charcot-Marie Tooth病Congenital Muscular Dystrophy等そのほとんどが進行性という特徴を有している.それらの子供達に対して成人と同様な運動を行うことは容易に患児にあきられたり,拒否されたり,なだめすかしたりするため,必要な運動を永続することが非常に困難である.
従って知的未成熟による理解力の問題,患児とのラポール,動機づけを与えるために動作の中にいろいろな遊びをとりいれる必要が生じてくる.
小児の運動はその遊びが面白いから何回もくり返し行い,遊びが次々に変化,発展していく中で運動能力も伸ばされていくという特性を持っている.この特性を利用し運動の中に遊びをとりいれることにより抵抗なく毎日の楽しみとなるように,各々の小児の機能に適合した遊び動作を選択し運動として行わせれば,筋疾患の運動の本来のねらいである持続的にくり返すことにより筋力の維持,変形の予防を図るという目的と合致する.
我々はこのような観点から積極的に運動の中に遊びをとりいれ患児の機能にマッチし,かつ出来る限り進行を阻む意図でPlay therapyとして治療の中に組みいれ,行なってきている.
今回は小児筋疾患を対象として,それらに対して心理療法の一環として行われているPlay therapyの運動療法への応用と,患児の心理面へのアプローチと更に生じてくる肺合併症のために呼吸訓練,運動時の留意点,各論として主要疾患での対処方法等につきのべたい(評価に関しては紙数の関係で割愛する).
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