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特集 運動療法
Ⅵ.骨・関節の運動療法
骨・関節の生理
Physiology of Bone and Joint
林 泰史
1
Yasufumi HAYASHI
1
1東京都養育院付属病院整形外科
pp.1102-1113
発行日 1976年12月15日
Published Date 1976/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101379
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Ⅰ.骨の生理
骨組織は軟骨組織と共に生体の運動,形態保持に不可欠の支持組織である.骨格は一見単純な外見を呈しているが,内外の因子,食事などに左右され,変化しうる生きた組織であることがLemnius(1564年)により始めて認められた.その後生きた組織としての骨についての研究は遅々として進まなかったがAlbright(1940年)はmetabolic balance studyにより骨が吸収と形成により維持されていることを証明したことは画期的なことである1).しかし骨疾患は頻度が少く,生命に対する危険度が少いこと,および骨の細胞成分や結合組織が実質臓器などの様に簡単にとり出せないことなどから研究が遅れている傾向があった.
最近,核放射線医学,酵素学,内分泌学の進歩に伴い,副甲状腺ホルモン,カルチトニン,ビタミンDの動態が解明される様になり,無機質の代謝と骨の微細構造の変化との関係が徐々に明らかにされてくる様になって骨は総合研究の場となった.骨組織は一見,静止した無機質の塊の様に見えるが実は活発な塩類代謝,殊にカルシウム代謝を示し,生体のホメオスターシスに欠く事の出来ないものである事が判ってきた.骨は一生の間remodlelingを続け,加齢,骨折治癒,骨粗鬆化,骨軟化,腎性骨不全など種々の疾患で骨有機基質,骨塩,骨細胞成分がそれぞれ異った変化,動きを示す.
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