ICUにおける慢性閉塞性肺疾患の理学療法

Physical therapy of chronic obstructive lung disease in the ICU

はじめに

　当院におけるICUは昭和43年に開設された．当初ICUに収容された患者はその大部分が外科系疾患であった．近年，医療技術の進歩と共にICUにおいても循環器系，呼吸器系と分化されてゆく傾向にある中で，後者では慢性閉塞性肺疾患chronic obstructive lung disease（以下COLDと略す）が注目されてきている．当ICUにおいても昭和45年より収容し，以後徐々に増加する傾向にある．われわれがICUにおいて訓練を開始したのは44年からで，対象疾患は外科系疾患が主であった．しかしCOLDへの関心が高まると共に呼吸訓練に対してもその必要性が問われ，49年からICUにおけるCOLDの呼吸訓練が開始され現在まで8症例（再発2例を含む）を経験することが出来た．今回，われわれはこの経験をまとめる機会を得たがICUにおけるCOLDに関する症例報告が少なく，PTに関する報告は皆無に等しい．またわれわれの扱った症例も少なく，経験も浅いため不充分な点も多々あると思われるので諸氏のご批判，ご指導をお願いする次第である．