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義肢・装具の発展に関与する因子は,これに物の製作技術がからむため,他のリハ医学領域とは異なる問題点が含まれる.これらの発展を阻害している諸因子を堀りおこそうとして,昭和43年7月に神戸において初めて第1回義肢装具研究同好会が開かれ,義肢・装具の教育,支給法制上の問題,価格と開発システム,情報交換の必要性が討議された.これが日本義肢装具研究会に変遷し,東京都立補装具研究所に事務局がもたれ,組織化された姿となった.しかし,義肢装具のこれらの課題は,教育,研究開発および規格,価格,情報収集,医療補償いずれをとっても,複数の行政官庁にまたがる行政上の解決が不可欠のため,昭和46年に日本リハ医学会にて義肢装具委員会が設置され,まず,義肢・装具に関する将来計画が作成され2),現在の活動の基礎作りができた.その後,日本整形外科学会にも義肢装具委員会が設置され,主として医療に関する検討を分担することとなって現在に及んでいる.前述した通り,義肢装具に関する諸問題の最終的な解決は,関係する担当する各行政機関の大局的見地にたつ理解と前向きの姿勢なくしては行なえない.そこで,この両学会の総意をまとめて行政に要望した結果,昭和49年10月に身体障害者福祉審議会に補装具小委員会が発足し,われわれが主張しつづけてきた問題がはじめて爼上にのるようになった.さらに,より具体化するためこのなかに,教育,価格,規格,研究開発に関する専門分科会が昭和50年2月に設置されたことは,10年前を振りかえったとき,大きな進歩として受けとめている.やっと土俵に上ったばかりで,これからが今後の方向づけにきわめて重要な時期であり,日本リハ医学会義肢装具委員会の動きを中心にして,義肢装具の周辺の問題点をのべてみたい.
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