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はじめに
診療記録の重要性は今更,あらためて述べるまでもないが,診療記録の管理法,記載法などについては,多くの場で検討工夫されてきている.診療記録は毎日の臨床の中で作り上げられていくもので,診療記録には「診断を正当化し,治療と転帰を妥当とするに充分な資料を含んでいなければならない」とされ,Mac-Eachernは診療記録には次の6つの価値があるとしている.
1.患者にとっての価値:患者が将来再び病気になった時はその正確な記録が役に立つ.ときには生死の分けめともなる診断決定に要する時間が短縮される.
2.病院にとっての価値:医療評価の資料となり,病院の医療水準向上に役立つ.
3.医師にとっての価値:医科学生の公式の教育にばかりでなく,医師白身の卒業後教育の教材となる.
4.法的防衛上の価値:不法医療の訴訟は近年頻繁になる傾向がある.病院と医師の法的防衛上の証拠となる.
5.公衆衛生上の価値:特に伝染病に関する資料は地域社会の衛生に多大の寄与をする.
6.医学研究上の価直:どの病院のどの医師も,患者について正確で完全詳細な記録を発表することによって,医学に貢献することができる.
以上は医師のための医師の診療記録としてのべてあるが,私達P.T,O.Tなどの医療従事者にとっても,まったく同じことであり,現在の病院のように医療は専門化し,そこに働らく専門職種も増え,患者に対するサービスも多様化している今日,診療記録は患者のための名職種間のコミュニケーションの上でも極めて重要な役割をもっている.
私達の病院は昭和49年2月に開院した新しい病院であり,開設にあたり診療記録のシステムもよりよいものにするべく努力され,一部にはPOSも導入されてきた.
POSは患者を全人的,総合的に把握し記録するすぐれたシステムとされているが,リハビリテーションこそ全人的,総合的医療に立脚したものでなければならず,私達もP.T,O.Tの診療記録にその一部を導入してきた.以下,私達の病院のシステムならびに診療記録の概略を紹介し,POS導入1年余りの経験について述べる.
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