The Japanese Journal of Physical Therapy and Occupational Therapy
Volume 9, Issue 11
(November 1975)
Japanese
English
特集 脳卒中
失語症をもつ患者に対する接し方
A guide for the effective communication with aphasic patients.
綿森 淑子
1
Toshiko WATAMORI
1
1都老人総合研究所言語聴覚研究室
pp.767-773
発行日 1975年11月15日
Published Date 1975/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101114
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Ⅰ.はじめに
失語症患者のコミュニケーション能力が,周囲の人達の態度や話しかけ方によって影響を受けるということは,経験的1)2)にも,また実験的3~6)にも確かめられている事実である.Stoicheff3)は,聞き手の反応が失語症患者の言語行動にどのような影響を与えるかを調べた研究の中で,患者の応答に対して,聞き手が,否定的な,気落ちさせるような反応を行うと,そうでない場合に比べて,課題に対する患者の反応が明らかに悪くなることを見出している.更に,Goodkin5)は,言語治療を長く受けていて,プラトーに達していると判定された失語症患者について,その妻の行動を変容させることによって,患者自身の言語行動にも望ましい変化が現われたことを報告している.また,筆者も,リハビリテーション病棟における失語症患者に対する看護婦の接し方について実験的な研究を行った結果4),看護婦の側の接し方を変えることによって,患者の言語行動に望ましい変化が現われるのを観察している.このように,失語症患者が,現在持っているコミュニケーション能力を十分発揮できるかどうかは,周囲の対し方によってかなり影響されるといっても過言ではない,また,失語症患者の言語症状,行動特性を適確に把握しているかどうかが,患者との接触の際の重要なポイントとなることは言うまでもない.本稿では特にOT・PTの人達が,失語症患者と接する場合に焦点を合わせて考えていきたい.
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