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はじめに
慢性関節リウマチのホームプログラムを述べるにあたり,この疾患の概略について簡単に触れよう.
慢性関節リウマチ1)(以下RAと略す)は結合織を侵す全身的疾患であり,その主要症状は多発性関節炎である.RAは女性に多く,その罹患率は男性の3倍と云われている2).発症年齢は幼児から高齢者まであらゆる年齢にわたるが多くの場合20~40歳台にある.関節の好発部位は,指手,足,趾等の末梢関節,及び膝,肘,肩,環軸関節である.多発性に慢性かつ進行性に左右対称的に関節を侵して行くのが普通であるが,RAに罹患した関節では,疼痛,腫脹,圧痛が認められ熱をおび,時に発赤を来たす.また全身倦怠感,易疲労,食欲不振,体重減少,微熱,貧血等の全身症状を示す事が多い.
RA罹患関節では,関節包の肥厚,関節内滲出液の貯溜や滑膜の過度の増殖に基づく腫脹が認められる.さらに進行すると滑膜や関節包の変化は次第に強くなり,関節軟骨も滑膜から伸びた炎症性肉芽(パンヌス)におおわれ,やがて破壊されるようになる.さらに病変が進むと,骨の破壊がおき,骨性強直を見るに至る.変形を来たす原因は,炎症により生じた疼痛による屈筋の攣縮と,関節包や靱帯及び腱組織における炎症とそれにつぐ線維化に帰せられる1,2,3,4).
関節症状の変化を簡単に示したが,関節病変の進行は患者により異なり,また同一患者であっても,各関節の症状はそれぞれ異なるのが常である.てのようにRAは慢性且つ進行性に緩解と再然を繰り返し,軽重の程度の差こそあれ,身体障害を生ぜしめる.ちなみにRA患者の10~15%(Fellinger,Copeman)2)或いは4.1~9.4%(伊藤他)5)は身体障害となるという報告がなされている.
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