診断基準とその使い方
慢性関節リウマチ
柏崎 禎夫
1
1北里大内科
pp.577-579
発行日 1977年4月10日
Published Date 1977/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207166
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慢性関節リウマチとは
関節痛を主症状とするリウマチ性疾患の中で,日常診療上,頻度の高いものが慢性関節リウマチ(RA)である.RAは慢性非化膿性の関節炎を有する全身性疾患であるが,現時点では特定の原因に対応した病気であるとはいえない.したがって,原因の明らかなものや,判然とした疾患単位を構成するものを除外して,なおかつ一定の特徴像を有するものに付された症候群といえる.その特徴像は,①対称性に侵す慢性の多発性関節炎で,②緩解と再燃をくり返して徐々に進行し,早期では関節軟部組織の腫脹(典型例では紡錘状腫脹),晩期であれば尺骨側偏位などの特徴的な関節変形を呈する.③リウマトイド皮下結節などの関節外症状をしばしば有し,④リウマトイド因子が陽性になる.⑤X線上,骨多孔症に加えて,骨・軟骨の破壊像がみられることである.
定型的なRA像を示す症例であれば診断は極めて容易である.しかし,上述の特徴像のいずれのひとつをとっても,診断の決め手になり得るものはないために,RAの早期例,軽症例,あるいは非定型例の場合に診断上混乱が起こる.とくに多施設間での研究成績の比較とか疫学調査の場合に問題が生ずるために,診断基準の必要性が出てくるわけである.
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