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はじめに
私共の勤務する都立心身障害者福祉センターの開設は昭和43年4月,今年で丸7年を経過した.「福祉センター」の名が示す如く,当センターの性格,機能,役割はリハビリテーション病院や肢体不自由児施設など一般のリハビリテーション施設とは異なっている.すなわちその機能は,「福祉援護」サービスにつながる判定業務―身体障害者手帳,諸手当,施設入所判定など(これらは「身体障害者福祉法」に定められているところの「更生相談所」としての業務である)が1つ.もう1つは主として急性期をすぎた障害者に対する職業的リハビリテーションを中核としたリハビリテーション業務である.その中でPT,OTは肢体不自由科に属し,肢体不自山児者を対象としてリハビリテーション業務を行っている.ちなみに当センターの場合,組織は主として障害別になっており(精神薄弱科,視覚障害科など),他の施設にみられるような専門職集団別―理学療法科,作業療法科など―をとっていない.またOT,PTは肢体不自由科以外の科には属していない.肢体不自由科は大きく3つのグループに分かれている.PTグループ,OTグループ,そしてCPの通園を担当するグループ(PT,OTの他に保母,心理士が加わっている).PTグループの特徴は,(1)補装具に力を入れている.(2)リハビリテーションのゴールに近いケースに対して,その仕上げの訓練に力を入れている.したがってADLが中心となる.一方OTグループも,(1)ADL,(2)Prevocational OT,を中心として仕事を行っている.またCP通園グループに参加するPT,OTとしては「小児の発達をトータルに援助する」という観点が要求されている.
PT,OTに期待される仕事内容が以上の如く,「障害された機能そのものの改善」というよりは,「残存機能の向上」「代償機能の使用への習熟」が多いという点で,他のリハビリテーション施設に働くPT,OTに期待されるものと若干異るようである.
こうした,当センターでのPT,OTに期待される業務を十分に果すためには,新人に対しての職場内教育を十分にやるべきであるという考えは開設当初からあった.ただし,最初の2~3年は職員の欠員も多く,日々の業務を果すのが精一杯で,新人といえども,その日からすぐ一人前とみなされ,ノルマを課せられた.その後,PT,OTの数も増え,新人も毎年何人か入るようになり,徐々に新人教育も形をなしてきた.そして本年は,PT1名,OT1名を向かえ,6カ月の研修期間を企画している.年度により人により若干研修内容は異なるが,以下最近の当センターにおけるPT,OTの新任者教育の実状を紹介する.
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