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Ⅰ.はじめに
「作業分析」という言葉は耳慣れた言葉ではあったが,何かピンと来ず,得体の知れない実感のともなわないOT用語のひとつとして,私自身は長い間うけとめてきていた.というのはスパックマン注1)のOTテキストでも,フィドラー注2)のテキストでも,ある程度詳しく述ベられてはいるのだが,両者のそれぞれの作業分析に対する考え方もはっきりつかめず,さりとて,全く別個のものであるという断定もできずたんに“そんなものかな”という程度の印象を長い間もっていたからである.それ以上深く考えてみたこともなかったし,自分から積極的に取り組んでみようという意欲もあまり持っていなかったといえよう.そんなところから,この分科会の司会を引きうけたときも,「精神科OTにおける作業分析」というのであれば,一方に全く別の「身体障害のOTにおける作業分析」なるものが存在するのかなと,精神科OTにおけるというところに,いささかひっかかりを感じたし,なにやら乗り気のしない気分であった.
学会でとりあげた主催者側の意図は「よく分らないからもっとつっこんだ話し合いをする機会が必要じゃないか.どこに焦点をあてるかは司会者の御自由に」ということであった.分らないのは私だけではなかったのかといささか我が意を得たりという気分でもあったが,そんなにまかされちゃっても困るな,とやや複雑な気持でもあった.いちおう私なりの心の準備として,この雑誌の特集注3)を読んでみたり,AJOTの関係ある論文に目を通したり,職場の仲間と話し合ってみたのたが,それでもピンと来ないし,ますます分らなくなった.エーイ,こうなったら全ては当日の発言者の発表まちということで,各自の考えている作業分析なるものを,15分以内で発表して欲しいとの依頼をしただけの準備であった.
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