特集 第8回日本作業療法士協会学会
―シンポジウム―老人福祉とOT
斎藤 延男
1
Nobuo SAITO
1
1甲州中央温泉病院
pp.595-598
発行日 1974年10月15日
Published Date 1974/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100898
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はじめに
医学の進歩に伴い平均寿命が延長され,人口形態が逆ピラミッド型に移行しつつある時に丁度時期を同じくして老人福祉があちこちで叫ばれる様になって来ている.行政的には老人医療費の無料化,年金高額支給制度等いくつかの措置がみられるが,病院等においては,それによる高齢者の渋滞と施設化の傾向も出ており,リハビリテーション見地からすると逆効果現象になってきている.
ある統計によると48年度における独居老人は49万人,寝たきり老人は30万人と出されている.生理的老化現象又は疾病の諸特徴は,組織の脆弱化,感覚の低下,予備力の減少等があり症状としては非定形的,慢性化,合併症を併い記銘力低下,適応性の低下,感情鈍麻等が結果的に表われて来る.これらの身心的特徴の他に職業面,家族構成,経済状況を無視しては作業療法を遂行する事が困難である.これらの事をふまえた上で,今回「老人福祉とOT」というタイトルでシンポジウムを持ったわけであるが,あまりにも広範な問題であり,どの様な方向より取り組んだら良いのか困惑し,結果的にOT自身の行っている事への反省が出されれは,又はOTの果し得る役割の再認識が印象づけられればという事になった.
シンポジストには下記の方々になっていただいた.
三島 博信(洞爺協会病院リハセンター部長,MD)
黒田 知篤(北海道精神衛生センター所長,MD)
岩間ふみ子(国立療養所村山病院,OTR)
各演者毎に発言内容につきまとめて,質疑内容について総括として記してみた.
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