特集 公衆衛生学会を顧みて
公衆衛生学会印象記
—第6分科会—結核
岡田 博
1
1名古屋大学予防医学教室
pp.21-23
発行日 1961年1月15日
Published Date 1961/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202362
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演題は43題,そのうち誌上発表が5題あつたから38題が演説されたわけである。演題の傾向からみると一番多かつたのは全国各地の保健所の方々から出題された住民検診や管理検診をどうやつているか,また発見患者の傾向はどうなつてきているか等の問題で11題におよび,次は農村,小企業,業態者などの患者の実態,放置患者や重症患者はどのくらいあるかの問題が6題,それにツベルクリン反応や精製ツの問題が同じく6題,次が学童結核の感染や管理の問題が4題,同じく職場の結核管理や再発防止に関するものが4題という順序で,この学会に於ける現在の結核問題の中心点が自ずからわかる。
そこで演説された問題からひろつてみると。先ず北海道衛生部の岩永等はX線による学童の性腺被曝量の問題を論じた。これはレ線被曝の年齢的許容量の判然としていない今日,議論はあろうがやはり考慮を要する問題で系統的な基礎研究が望まれる。結核予防会塩沢等は間接写真の病巣発見率が,陰影が骨と重なつた場合に著るしく低下することを述べ評価の高い写真をとることを強調しているが,今日間接撮影の技術は相当進歩したとは言え今一段の努力を要すべき問題である。公衆衛生院重松等は精製ツとOTとの特異度の比較を陰性者にBCGを接種して生ずるコッホ現象をも参照して精製ツの方がOTより特異度が高いことを報告している。この方法は面白い着眼と思うがBCG歴のない集団との比較が望ましい。
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