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はじめに
作業療法が診療報酬の中で認知され,保険点数として請求が可能になってより,既に14~15年を過ぎようとしている.頭初は我々の業種をどのような型でもよいから実質的に独占状況に設定することが急務であり,このため点数化において少しでも作業療法士という国家資格を持った者で行うことのみが請求できることが主たる目的であったことより経済的効率ということは,ほとんど次の段階として筆者の中で設計されていた.それは理学療法士と並んで作業療法士という身分法が確立され,また業務遂行者として,この資格を有している者のみが仕事を行うを許されているのは医療法の中で幾種かの職種のうち,この二職種だけであった.それにもかかわらず,職業の背景基盤となる報酬制度が存在していなかったので,資格を持ち施設に勤務していても全くの赤字であり,不採算部門であり,必要なことを行おうとしても遠慮をしながら仕事をやらなければならなかった.診療報酬請願を行うに当たり,労災保険の考え方を準用し,患者へのリハビリテーションを行うことにより障害者が税金消費者から納税者への転換ができることと,更に庇護された状況から自立し,仕事ができるまで医療の枠の中で保険を用いて処置を受けることは被保険者として当然の権利であることを主張した.これらのことが中医協の支払者側委員に賛同を得たものと理解したが,現在,振り返ってみるとリハビリテーションが納税者をどのくらい増やしたのか,労働者としての権利をどのくらい確立してきたのかは,まったく定かでない.直接的に納税者にならなくても,間接的に消費者にならない二次的な社会的経済効果まで含めて作業療法部門の経済効率を考えないと,施設内の一つの部門の経済効果だけでは患者ニードに対応できず,長期的にみて先細りになることも心配される.作業療法部門の経済的効率は日々の労働効果としてであり,一方,現場においては,施設内において投資された経済の判定をもしなければならないので社会的経済効果は他の専門家に任せるとして,途中までの展望を考察し御批判を頂ければ幸いである.
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