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第9回名古屋学会では始めての企画として,症例検討会「五十肩」が策2会場で参加者250名以上集めて行われた.五十肩の3症例とアンケートをとりあげ,全国から集まった理学療法士と医師も参加して学会の場において症例検討会形式によって行われた.従来の五十肩の評価,理学療法について,いかなる方法と手段があり,それぞれの問題について十分な討議を行い,再認識をして,今後の理学療法に活用していこうというねらいである.過去第2回学会から第9回学会まで,肩関節疾患の理学療法については9題の発表論文を数えるのみであった.一般の総合病院,整形外科病院では日常多く治療対象となる疾患の一つである.大阪大学病院では外来患者のうち,昭和47年に15%,昭和48年に13%の割合で施療していた.症例検討会に先立ち,学会は協会会員諸氏に五十肩の治療の現況についてアンケートを求めた.発送施設数384,回収数175施設,回収率45.8%の好結果を得たのである(アンケート報告,名市大病院野々垣嘉男 RPT).
五十肩は厳密な意味での診断名ではない.40歳以上の初老期に多くみられる肩関節周辺組織の諸種の病変(退行性病変)によって疼痛性肩関節制動を主徴候とする疾患である.起因特殊の原因が証明しにくく,病名そのものが描写的で,素人にも分かりやすい.医師からの処方には“stiff and painful shoulder”“frozen shoulder”“五十肩”とまちまちの診断名が付け依頼されてくる.このように診断,原因のつかみどころのない五十肩に理学療法士は臨床上どのように対処しているか,いかにすべきかをⅠ.症例報告,Ⅱ.評価方法,Ⅲ.疼痛の理学療法,Ⅳ.関節可動域拡大のための理学療法と4つに大別し症例検討会をすすめていった.
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