解説
生活臨床—その考え方と方法
加藤 友之
1
,
江熊 要一
2
1榛名病院
2群馬大学医学部
pp.272-278,287
発行日 1971年7月15日
Published Date 1971/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200256
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
精神医療の中で現在最も努力がはらわれている疾患に,精神分裂病がある(以下分裂病と略す)。主として青年期に発生し,多くは進行性に経過し,末期には人格の特有な欠陥状態あるいは人格の荒廃状態にいたるといわれている分裂病は,いったん軽快しても,その大部分が"闇の力"(原因不明)で再発し,結局は"不治の疾患"とみなされてきた。
従来,分裂病と診断されると,その治療は入院治療に中心がおかれ,軽快と退院したのちの後治療を含めて,外来治療はあまり重きをおかれなかった。再発すれば再入院する。そして頻回の再発・再入院の結果は,現在の精神病院内に,おりのように沈殿している無気力な分裂病者をつくりだしたともいえる。
Copyright © 1971, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.