研究と報告
脈波安定装置を併用したパラフィン浴血行動態の実験的研究―TR型脈波安定装置の考案について
井野 省三
1
,
松沢 正
1
1東京教育大学雑司ヶ谷分校リハビリテーション科
pp.213-219
発行日 1971年6月9日
Published Date 1971/6/9
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100438
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Ⅰ.はじめに
理学療法の基礎的な研究と,その効果を判定する方法の改良をはかるため,光電容積脈波計に,われわれの考案した脈波安定装置を併用し,パラフィン浴の血行動態の変動を調べてみた.
その結果,次の成績を得たのでこれを報告する.
(1)パラフィン浴を施した局所の血流量は,浴後30分間において,推定値約20-70%の増大となる.
(2)検出部に圧を加えないで誘導した脈波振幅(以下無圧振幅と略記)は,パラフィン浴後,有意差のある増大を示さず,加温による脈波増減率は小であり,脈波感度が低い.
(3)脈波安定装置を併用して,検出部に軽い圧を加え,姿勢による圧変動の影響を防ぎながら誘導・記録した脈波振幅(以下加圧振幅と略記)では,浴後有意差のある著しい増大が表われる.したがって,加温による脈波増減率は大であり,脈波感度も良好となる.
(4)加温後の血流量増減に相似して,加圧振幅は増減した.したがって,TR型(東教大理研型の略)脈波安定装置による加圧振幅の測定は,局所の血流量推定方法として,かなり有用なものであり,いちおうの信頼性があるものと思われる.
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