特集 中耳真珠腫最新の知見—病態から治療まで
III.後天性真珠腫・病態
真珠腫と耳管
本庄 巖
1
1京都大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.829-833
発行日 1987年10月20日
Published Date 1987/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492210386
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I.はじめに
後天性真珠腫の成因の一つとして耳管に病因を求める考え1)があり,Bluestoneら2)は耳管の機能的閉塞による鼓室内圧の低下が鼓膜弛緩部の陥凹をきたし真珠腫を形成すると考えた。また実験的には佐野3),Wolfmanら4)が耳管の器質的閉塞により真珠腫が形成されることを報告している。しかし耳管の器質的・機能的閉塞がただちに臨床的な耳真珠腫の成因となりうるか,耳真珠腫における耳管の役割はなお検討の余地があると思われる。
一方滲出性中耳炎と真珠腫との関連は従来からも示唆されており,真珠腫の成因あるいはその病態に耳管の障害が関係しているか否かを明らかにする必要がある。そこでまず真珠腫例の耳管の病態についてわれわれの検索結果を中心に述べ,ついでこれと関係の深い滲出性中耳炎や口蓋裂例の耳管の病態を参考にして,真珠腫における耳管の役割を考えてみたい。
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