特集 中耳真珠腫最新の知見—病態から治療まで
III.後天性真珠腫・治療
真珠腫の手術的治療—上鼓室真珠腫とscutumplasty
坂井 真
pp.887-892
発行日 1987年10月20日
Published Date 1987/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492210394
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I.はじめに
上鼓室に限局した比較的小さい真珠腫症例で上鼓室側壁の骨欠損も小規模なものの手術には,いわゆる外耳道保存術式(CAT, ICWなど)が行われることが多い。しかし上鼓室,乳突洞から真珠腫を除去したあとに上鼓室側壁(scutum)の欠損部をなんらかの材質で閉鎖しておかないと,術後にこの部分から外耳道皮膚や鼓膜が再び上鼓室方向に陥凹していわゆるretraction pocketを生じ,症例によっては再び真珠腫を形成してしまう。
1960年代にICWやCATが報告されて以来,この上鼓室側壁の骨欠損(scutum defect, SDと略)を修復するための方法としては,数多くの著者によりそれぞれ独自の方法が発表されている。
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