特集 中耳真珠腫最新の知見—病態から治療まで
III.後天性真珠腫・病態
真珠腫と上鼓室前方部
森満 保
1
1宮崎医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.823-828
発行日 1987年10月20日
Published Date 1987/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492210385
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I.はじめに
後天性真珠腫はなんらかの機転によって外耳道上皮が鼓室内に陥入しその上皮角化層が脱落蓄積されたものである。とすればその上皮陥入の機転とはどのようなものであるか解明することが即真珠腫の成因の解明となるし,その病態への理解も深まることになる。
従来側頭骨の解剖学的研究のほとんどが正常な側頭骨を材料にしてなされることが多く,そこから得られた成績はわれわれ耳鼻咽喉科医師が手術することの多い病的な側頭骨とはかなり異なったものとなる。もちろん大体の解剖学的な所見は一致するし大いに参考とはなるが,そのままの計測値が病的な側頭骨の解剖に一致すると考えることはきわめて危険である。むしろ手術という立場からは術者を誤らせる恐れさえあると思っている。
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