目でみる耳鼻咽喉科
真珠腫後遺症
中野 雄一
1
,
佐藤 弥生
1
,
高橋 姿
1
1新潟大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.338-339
発行日 1989年5月20日
Published Date 1989/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411200339
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慢性化膿性中耳炎の後遺症として乾燥性鼓膜穿孔(鼓膜穿孔症)があるように,中耳真珠腫にも真珠腫病変が完全に排除され,それによる形態変化を残したまま治癒した状態,いわば真珠腫後遺症ともいうべき骨壁変形耳がある。これをどう呼ぶかは別として,これにはX線上,乳突部に含気蜂巣の認められるものと,ほとんど認められないものがある。後者での特徴を述べると,上鼓室側壁から一部外耳道後壁にかけて骨壁が大きく半円形状に欠けており,耳小骨もその輸郭を浮き彫りにしている。すなわち全体として半球状の組織欠損を示し,乳突方向への深い内陥はない。同様な所見は反対側にもみられ,多くはそこに真珠腫病変がなお残存している。両耳を比較すると,病変残存耳では一般に後壁方向への骨欠損が少なく,それだけ乳突方向への内陥が深くて広い。しかしまれには浅い内陥のみということもある。この場合含気蜂巣のみられることが多い。
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