特集 TEES
【TEESで治す】
緊張部型真珠腫
三橋 亮太
1,2
Ryota Mihashi
1,2
1久留米大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座
2聖マリア病院耳鼻いんこう科
キーワード:
TEES
,
緊張部型真珠腫
,
鼓室洞
,
cartilage tympanoplasty
Keyword:
TEES
,
緊張部型真珠腫
,
鼓室洞
,
cartilage tympanoplasty
pp.1503-1506
発行日 2024年12月1日
Published Date 2024/12/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000001394
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はじめに
緊張部型真珠腫の多くが鼓膜後上象限(posterior superior quadrant:PSQ)の陥凹により生じ,角化物の貯留や肉芽形成を生じる。耳小骨,水平部顔面神経管の骨破壊を早期より生じやすく,EAONO/JOS分類でdifficult access sitesのS2と定義される鼓室洞へ進展しやすいという解剖学的特徴を持つ1)。transcanal endoscopic ear surgery(TEES)では,わずかな骨削開と斜視鏡の使用によって多くの症例で鼓室洞を明視下に置くことが可能であり,THOMASSIN剝離子(Karl Storz社)などを用いることで後鼓室開放を行うことなく鼓室洞の上皮を挙上することができる。真珠腫が乳突洞を超えて,進展していなければTEESで治療が可能とされている2)。われわれの検討では緊張部型真珠腫54例のうち乳突洞まで進展していた症例は8例のみであり3),ほとんどの症例はTEESで対応可能である。
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