特集 めまい—問診から治療まで
V.治療と予後管理
めまい治療の経過観察と予後管理
朴沢 二郎
1
1弘前大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.851-858
発行日 1986年10月20日
Published Date 1986/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492210206
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I.はじめに
筆者に与えられた分担課題に対してまず最も強調したい結論から先に申し上げたい。それはめまい治療に当って,"患者と医師との意志の疏通の重要性"である。めまい治療の成功の鍵は両者の信頼関係にあるといえる。それはいわゆる"ムンテラ"によって成立するものではなく,あくまで科学的データーに基づいた経過観察と予後管理の中から生まれるものであり,時宜に応じた医師の助言や生活指導があってこそ必然的に両者の信頼関係を生むことになる。
めまい疾患にはただ一度の発作のみで終焉し,その後はむしろ後遺症が主として臨床上問題となるようなものと,発症後めまいを反復するものとがある。われわれがめまい治療で厄介視するのは後者のいわゆる反復性めまいのほうである。
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