特集 めまい—問診から治療まで
V.治療と予後管理
めまいの東洋医学的療法
菊池 尚子
1
,
上村 卓也
2
1北総白井病院
2九州大学医学部耳鼻咽喉科教室
pp.847-850
発行日 1986年10月20日
Published Date 1986/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492210205
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I.はじめに
東洋医学では,局所的な疾患に対しても,全身的な体の異常状態を探り,これを調節することにより治療を行う。その基盤となっている漢方の考え方が陰陽五行説である。
すなわち,自然界,社会,人体などのあらゆる事象を,相対立した陰・陽として表わすのが陰陽説であり,木・火・土・金・水の五行に当てはめて考えるのが五行説である。たとえば,人体についていえば,体表は陽で体内は陰であるが,同じ体表であっても体表同志の部位を問題にする場合に,背面は陽腹面は陰となる。このように,同一部位で固定した観念を当てはめるのではない。人体の生理機能も陰陽の変化の過程としてとらえ,病理変化はこの陰陽の調和の破れた状態と説明する。
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