特集 扁桃—今日の臨床指針
V.診断と治療
扁桃誘発反応の意義,役割とその限界
形浦 昭克
1
1札幌医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.859-864
発行日 1985年10月20日
Published Date 1985/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492210040
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I.はじめに
扁桃が二次疾患の病巣であるとする局所病巣診断法は最も敵要である。問診,病的局所所見,ASO価,CRPなどの臨床検査のスクリーニングテストとともに日常臨床においてルチン化されねばならない。局所病巣診断法として扁桃マッサージ法,ヒアルロニダーゼ法および超短波法に代表される扁桃誘発試験と陰窩洗浄,インプレトール試験およびレーダー吸引などの扁桃打消試験がある。ことに偏桃誘発試験は客観的にその指標から病巣性有無を判断するための有用な診断法である。一方打消試験はインプレトール注射による関節痛の激減および皮疹改善などからみられるごとく,帰納的に治療後診断法diagllosis ex juvantibusとしての価値が大きい。しかし誘発試験のごとく客観的にその指標を知る方法がなく患者の訴えやその現象から判断せざるをえない。ここに扁桃性病巣感染の診断における誘発試験を見直す必要性が叫ばれるゆえんである。また扁桃が病巣であるための診断としての可能性は,誘発試験のみばかりでなく打消試験を併用することによりその診断率はすこぶる高いといわれるのが現況である。
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