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まえがき
扁桃病巣感染症とは扁桃に限局した慢性の炎症巣(原病巣)があつて,それ自身は無症状であるか,または時に症状を呈するといつた程度にすぎないが,それが原因となつて,原病巣から離れた諸臓器組織に反応性の器質的または機能的障害(二次疾患)を起している場合をいうが,この考え方はGutzeitの病巣感染症の定義に一致するもので,今日一般に容認されており,臨床医家にも理解しやすい考え方である。従つて扁桃病巣感染症の診断を下すにあたつては,まず原病巣たり得る慢性扁桃炎の存在を確認しなければならぬ。慢性扁桃炎の存在は,詳細な病歴の聴取,扁桃局所々見の精査,各種臨床検査成績の判断等によつて,ほゞ確実に診断し得るが,この慢性扁桃炎と二次疾患との間の有機的関聯の確認は必ずしも容易ではない。従来は両者の関係を明らかにするため,診断のための治療即ち疑わしい扁桃を試みに手術的に除去して二次疾患の好転をみたとき,始めてこれを原病巣なりと診断する所謂"diagnosis et juvantibus"が採用されていたのであるが,かかる診断法を常用すれば無用の手術を行うこともあり,ひいては原病巣を手術しても二次疾患の好転をみない場合が多くなり,かえつて混乱を招くことになる。われわれは扁摘前に疑問の扁桃が原病巣であることを確認したいのである。そのためには疑わしい扁桃を刺激して,二次疾患の推移を追及すると共に,各種生体反応の変動を検査し,その成績から原病等と二次疾患の有機的関聯を確認する誘発試験が是非とも必要となつて来る。
Provocation-test and antistreptolysin-reaction are remarkably reliable as the diagnosis of tonsillar focal infections.
Ino and his associates mentioned the principle and the methods of the Provocation-tests.
Especially the value of provocation by ultrarhort-wave was determined and the relationship between this provocation-test and antistreptolysin-reaction was discussed.
It is highly desirable that these two testsmust be carried out as the diagnosis of tonsillar focal infections, to determin the prognosis and the indication for surgical removal of the tonsils.
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