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I.はじめに
鼻アレルギーは,学童期の10〜15%に認められ,数パーセントは治療を要するほどに頻度の高い疾患である。また,青年期から中年にかけて発症するケースも臨床的に数多く観察される。治療方法としては,特異抗原による減感作療法1),非特異的抗原刺激による免疫療法,ヒスタミン遊離抑制効果を期待する注射や鼻吸入などの他に,合成ステロイドBdpの鼻腔内投与2),腫脹した下鼻甲介粘膜切除や電気焼却,鼻中隔の外科的矯正術,翼口蓋神経節後線維に対するクライオサージェリー,ヴィディアン神経切断術3〜5)などがある。いずれも臨床的に有効であることが種々報告されているものの,それぞれ一長一短があることは否定できない。現在なお抗ヒスタミン薬が鼻アレルギー治療の上で占める役割は非常に大きいものがあり,治療の第1選択薬にしばしば選ばれ,上記の種々の治療方法に併用していくことが大方の治療の現状であると思われる。抗ヒスタミン薬には,化学構造上数多くの種類があり,市販されている製剤の種類も多いが,手軽に服用できて速効性があることが最大の利点である6)。治療効果は,鼻アレルギー症状のうち,くしゃみ発作,鼻汁,限や口蓋のかゆみに対し効果があるものの,腫脹した粘膜による鼻閉に対しては今一つ効果は弱い。また抗ヒスタミン薬の経口投与での最大の問題点は,副作用である中枢抑制作用,つまり「眠気」である7)。
今回われわれは,フマル酸クレマスチン(CF)を経口投与量の約1/10を基剤に混ぜ,鼻腔内投与することにより,「眠け」の副作用を完全に防止でき,かつ経口投与より有効であるとの結果が得られたので報告する。
Clinical trials of intranasal administration of antihistamine in fourteen patients with nasal allergy showed the remarkable result compared to that of oral administration.
The protocol was this: the first week--no therapy, the next week--clemastine fumarate (CF) 2mg per os (2×1 mg tab), the last two weeks-two capsules were administered intranasally per day and each contained 40 mg hydroxypropylcellulose (HPC) only (A), or 0.1 mg CF with 40mg lactose (B) or 0.1mg CF with 40mg HPC (C).
Double blind cross over design was taken. The symptoms were more decreased in B and C than per os taking (P<0.10), and side effects, especially CNS suppression were not at all seen in A and B and C.
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