特集 耳鼻咽喉科MEの進歩
IV.音声
音声分析装置
小池 靖夫
1
,
今泉 敏
Yasuo Koike
1
1近畿大学医学部耳鼻咽喉科
pp.805-809
発行日 1981年10月20日
Published Date 1981/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209327
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I.はじめに
臨床的な立場からみるとき,音声(voice)または音声言語(speech)の分析はいくつかの目的に利用できる。一つは,喉頭疾患に伴う声帯振動の異常を検出することによって,多数の人々の中から,精密検診を要する高リスクの人々を選別する,いわゆるスクリーニングの目的である。これは例えば結核に対する集団検診と同じ思想に基づくものであり,診断というよりはむしろ身体検査と呼ぶべきものである。こうした目的では,音声の分析から得られる情報はかなり役立つものと思われる。
第二の目的は,喉頭疾患による発声機能障害の経過を,客観的に記録することである。喉頭疾患自体の進展による変化もこの中に含まれるし,また,薬物治療や手術的治療がどのように影響したかも,発声機能障害の"経過"に含めてよいであろう。
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