鏡下咡語
H先生に教わつたこと—negativeと思われる成績の有用性
檜 学
1
1京都大学
pp.462-463
発行日 1979年6月20日
Published Date 1979/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208917
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「耳鼻咽喉科」編集室から随想欄「鏡下咡語」に一文を寄せるようにとのお誘いがあつた。私もこの欄があることはよく知つていたし,またしばしばそれに眼を通していた。そして,この欄で,各執筆者の医師としての,また医学研究者としてのお人柄がにじみ出た文章を拝見して何回となく感慨を深くしてきた。今回はこの欄を私がcoverするようにとのご依頼である。さて何を書いたらふさわしいのか実際のところ困惑した。というのは,この欄の読者の中には,私よりもはるかに深く広い耳鼻咽喉科学研究者としての経歴をおもちの方も多数おられるし,また,これから耳鼻咽喉科学を専攻されようとしている若い方々もおられる。読者の層が非常に幅広いことが私を困惑させる原因の一つであるようである。そのような次第で,以下のべる文章の内容は,この随想欄にそぐわない恐れもあるので,編集室の方にそれでもよろしいかと念を押した訳である。幸いご賛同をえて以下の文章を綴つている。
私が医学部を卒業したのは昭和20年10月である。したがつて,来年10月になると卒業35周年を迎えることになる。その間ずつと大学で過してきたので,私の意見には偏りがあるかも知れない事を予めご承知いただく必要もあろう。しかし,ここで私の経験を記し,それについての只今までの気持を率直にのべる事が,今の私としては一番自然な気がするのでそうさせていただく事とする。
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