総説
頭頸部形成手術—本邦過去10年間の文献を中心に
黒住 静之
1
1広島大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.569-584
発行日 1978年8月20日
Published Date 1978/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208685
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I.緒言
形成外科とは何かという問題については,第1回日本形成外科学会が開かれた1958年前後から1964年の大森論文1)の頃まで盛に論ぜられたが近年は表立つた論議は少ない。しかし,だからといつて形成外科のSein, Sollen, Wollenが確実に方向付けられたわけではなく,考慮すべき問題がある。このことについては耳鼻咽喉科の立場から既に小文2)を書いたので,耳鼻咽喉科医は頭頸部形成手術にもつと積極的に取組むべきであることを記すに留め,以下,形成外科の分類において,機能面よりの考慮が払われている点などで優れている高橋の分類3)4)による矯正手術,整復手術について述べたいと思うのであるが,ここでいう頭頸部形成手術とはいわゆる耳鼻咽喉科領域の形成手術であり,それなくしては形成手術は不完全であるとわれわれは考えている,従来の概念での耳鼻咽喉科固有の手術,たとえば鼓室成形術,喉頭部分切除術,喉頭音声外科手術そのものには触れないことにするし,ここで取上げる手術にしても,その手技を記述するのではなく,頭頸部形成手術の大体の流れを紹介し,問題点を指摘することが本小文の意図するところである。
また,手術の前の段階である診断,手術に直結する研究,たとえば皮膚,粘膜の物理的性状,骨・軟骨の代謝などについても,紙面の都合で割愛せざるを得ない。
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