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耳介,軟部外耳道を含めた広い意味での側頭骨上皮組織より発生する癌腫のすべてを聴器癌と総称し包括しても,聴器癌は耳鼻咽喉科領域の多くの癌腫の中で,なお,きわめてまれなものであると言えよう。実際,われわれの京都府立医科大学耳鼻咽喉科学教室で昭和38年より現在に至る15年間に経験された例数をみても,ここに報告する8例にすぎない。このように聴器癌の発生がきわめてまれであるために,ことに,その治療法については未だ確立された方法はなく,むしろ,きわめて混乱した種々の治療法が症例ごとに選択されているのが現状であるといえよう。われわれの経験した8例についてももちろん例外ではない。一方,聴器は重要な情報伝達機能としての聴覚,あるいは身体平衡反射の重要な部分をなす前庭機能を有しており,癌腫が発生したばあい複雑な臨床症状を呈する点でもぎわめて特異である。
われわれは経験した8例の臨床経過を適応した治療法との関連のもとにとらえ,聴器癌の臨床像一般を可及的明らかにするとともに,より効果的な治療法を考える資料とするために若干の文献的考察とともにこれらの症例につき検討を加えた。
Eight cases of cancer of the middle ear and the deep external auditory meatus are reported.
Facial palsy is an important initial symptom for an early diagnosis but it is at times difficult to differentiate the cancer from the chronic middle ear inflammation.
Radical ear operation or regional resection of the temporal bone combined with radio- and chemo-therapy were applied for treatment of 6 cases ; 2 cases out of which are still surviving over the period of 5 years after the treatments.
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