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I.はじめに
口腔底,頬粘膜,臼後三角,口蓋扁桃,舌根および下咽頭などのいわゆる口腔およびその周辺領域の癌に対する根治手術は切除後の組織欠損をいかに再建するかが長い間の懸案であつた。術後の壊死,出血などの致命的合併症を恐れて手術に踏みきれなかつたり,切除範囲が不十分となり,しばしば,局所再発をきたして,治療に失敗する例が多い。1950年代後半より頭頸部腫瘍切除創へ再建外科的技術が導入されるようになり,手術適応の拡大とともに治療成績は著しく向上した。1956年KloppとSchurter1)が軟口蓋および扁桃癌の切除創を有茎舌粘膜筋弁で修復して以来,有茎舌弁は口腔およびその周辺領域の癌切除創の閉鎖に広く用いられるようになつた。特に,口腔底,扁桃窩,臼後三角,頬粘膜の切除創の補填と修復には欠損部の大きさにある程度の制限は持つものの,咽頭腔の一次閉鎖が可能となり,他の有茎皮弁に比し,明らかに有利である。
われわれは今回臼後三角領域の扁平上皮癌症例に舌半側有茎弁(hemiglossal flap)を用いて切除創を被覆再建し,良好な術後経過をみている症例を経験したので,ここに報告し,有茎舌弁について文献的考察を加えた。
Squamous cell carcinoma of the retromolar triangle area (T2N3) is treated by radical excision of the molar region together with hemimandibulectomy and radical neck dissection and the operative wound was closed by hemiglossal flap. Postoperatively the function of the remaining tongue appeared to be quite satisfactory and did not interfere with speech or deglutition. The pedicled tongue flap would have the advantage for reconstruction of intraoral defects in cancer surgery.
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