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I.緒言
一般に成書をみると喉頭全体の病変を示す急性あるいは慢性喉頭炎という名称のほかに,特に喉頭の一部位の病変を強調して命名しているものに声門下喉頭炎,喉頭室粘膜脱出症,急性喉頭蓋炎などがある。しかし喉頭後連合の病変について特に論じた報告は最近はすくない。その理由を考えると,1)間接喉頭鏡ではこの部は見難い,この部をよくみるためにはKilliansche Stellungといわれる特殊な姿勢が検者にも患者にも要求されるくらいである。直接喉頭鏡検査なら比較的よく見えるところであるが,この検査は一般外来では普通行なわれない。2)昔は喉頭結核や梅毒などがこの辺に好発したらしいが,現在では特にこの部を見なければある症状の説明がつかないとか,この部はある病変の好発部位であるからぜひ見なければいけないということは指摘されていない。3)悪性腫瘍がここを原発部位とすることはきわめて稀である(Kleinsasscr)などがあげられるであろう。しかしこれらの理由がすべて真ならば,確かにこの部を問題にすることはないように思うが,著者は次の様な理由からこの部に注目した。
もっともこれは決して新しい事実でなく,昔から発表はあるが,その数はすくなく,だからといつてそれほど無関心ではあり得ないからである。第1の理由は喉頭異常感との関係,第2は特殊な慢性喉頭炎,たとえば乾燥性喉頭炎との関係,第3は喉頭硬皮症ないし乳頭腫との関係である。第3番目のものはVirchow以来問題にされたもので,本論文でもこれについて触れるが,残念ながらこの部の組織学ないし,病理組織学的研究はすくないし,われわれも少数しか検索していないので,主に臨床的な面からと文献的な面からの報告をしたい。
The author made analysis of 40 patients in whom laryngeal abnormalities such as hoarseness and feeling of other abnormalities were present. By means of employing the fiberscope these patients were found to be affected with edematous swelling of the laryngeal wall, scar formation, tumors and pachydermia laryngis.
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